ウインターセミナー2016

ウインターセミナー2016速報

 2016年1月30日(土)13:30から、北海道がんセンター5F第1会議室において、「検査室マネジメント」をテーマにしたウインターセミナー2016を開催しました。
 昨年に引き続き第2回目となるウインターセミナーは会員、講師、メーカーの合わせて44名の参加がありました。 今回は講演3題と盛りだくさんな内容でグループディスカッションを組み込むことができませんでしたが、講演1と講演2の中で全員参加型のクイズを行いました。 赤、青、黄、緑の4色の画用紙を参加者に配布し、正解だと思う選択肢と同じ色の画用紙をあげて頂くという形式をとりました。 志保支部長の挨拶で「学ぶ場は大切です」とのお話があり、会場の皆さんのメモを取る体制が整った中、最初の講演が始まりました。

講演1

講演1 黒崎 大輔 氏
 講演1は株式会社エイアンドディー北海道支社の黒崎大輔氏を講師にお迎えし、「検査システム導入に必要な基礎知識」と題して行われました。
 黒崎先生は「みなさんは検査システムを導入するとき、何を目指して導入を決めましたか?」とフロアに問いかけられました。エラーを直したい、より効率良くしたいと理由はさまざまですが、 これらを突き詰めていくと、最終的な目的として患者さんに安心して医療を受けてもらう体制を整えることに繋がります。システムとは目的を達成するための手段の一つであると示されました。
 検査システムの更新のタイミングとしては、HIS更新に合わせて行うのがベストということでした。大事なのは更新後の検査科を含めた病院スタッフ、メーカーSEとのクローズミーティングの開催であり、この時点で達成されていない残件を確認し、 優先順位を決め、次の更新に備えることが必要になるとのことでした。システムの導入や更新の際に最も重要なドキュメントがメーカーへの「要求仕様書」になります。サービスの提供先は誰か、どのような価値を提供するか、どのように価値を提供するか、 目的を明らかにしたうえで手段を考える、そしてその手段が適切かどうか検討していくことで失敗しない要求仕様書を作成できるとのことでした。
 最後に検査システム構築は、検査室を再構築する絶好の機会ですと講演を締めくくられました。黒崎先生ありがとうございました。


講演2

講演2 松尾 久昭 氏
 講演2は、シーメンスダイアグノスティックス株式会社の松尾久昭氏をお迎えして「保険診療の基礎と平成28年度診療報酬改定の動向」と題した講演を行いました。 まず保険診療の基礎に関して、医療に関するお金の流れを説明して頂きました。診療報酬とは医療機関が患者さんごとに作成した診療報酬明細書(レセプト)をもとに 審査支払機関が保険診療ルールに従っているか、診療・投薬内容、不要な検査はないか等の点検を行ってから支払われる流れになっているとのことでした。
 時代とともに診療報酬の視点は変化してきているそうで、以前はモノや行為に対し評価を行っていたのが、その後設備や人員といった体制を評価するようになり、現在はどんな患者さんを診ているかが評価の中心になりつつあるそうです。 中でもDPCはその最たるもので、今後は診療のプロセスや結果を評価する方向へ向かっていくでしょうと松尾先生はお話しされました。
 平成28年度診療報酬改定については、急性期入院医療ではいかに重症の患者さんを診ているかが問われ、回復期・慢性期入院医療では地域包括ケア病棟をより促進する動きへ、また救急医療においてはあらゆる施設に救急対応の充実を求め、加算点数がアップする傾向にあるとのことでした。
 改定の度に検査科に関連する項目の点数は下がってきているので、今回の改定が非常に気になるところですが、最新の動向についてわかりやすく講演して頂きました。
松尾先生ありがとうございました。


特別講演

特別講演 澁谷 斉 先生
 特別講演は、ISO15189取得施設である北海道大学病院の澁谷斉先生をお迎えして「北大病院の人材育成」と題した講演を行いました。 まず北大病院の概要をお話しされた後に、ISO15189に則した教育プログラムを紹介して頂きました。 ISO15189はヨーロッパ発祥であり取得施設はイギリスで約800施設以上と多く、アジアの中ではインドが右肩上がりで増え、日本は横ばい傾向だったそうです。しかし近年、厚生労働省から治験や臨床研究を積極的に実施している医療機関では、 検査精度を確保するためISO15189等の外部評価による認定を取得することとの通達を受けて増加傾向にあるとのことでした。
 ISO15189の要求事項は多岐にわたり、今回はその中から文書や記録の保管について具体例をあげて説明されました。 北海道大学病院では認定を取得された際に、いつ、誰が、どの部署と、どんな内容で電話のやりとりをしたかを記載する電話対応簿を整備したそうです。 電話を受けた人が、話しながらメモを取るように書き込める形式になっているそうで、後日他部署からクレームや問い合わせがあった際にこの対応簿を確認することができ、実際に役立った事例もあったそうです。
 人材育成に関しては、新人さんの採血業務研修や当直業務研修についてお話しして頂きました。採血業務は7段階ものステップを踏んで最終評価で合格点を超えてからデビューすることができ、当直業務も研修を終えた後に、不安な点を解消するための自主研修を重ねる期間があるそうです。 検査技師の人員構成や病院の特色もあり、他病院と単純に比較することはできませんが、全体として時間に余裕をもって綿密なフローチャートのもと新人さんの研修をされていることがわかり、羨ましい研修内容だと感じました。 このような研修プログラムの評価は常にPDCAサイクル(Plan 計画、Do 実行、Check 評価、Act 改善)を意識されているとのことでした。 非常に参考になるお話でした。澁谷先生ありがとうございました。


フロア風景



ウインターセミナー2016

開催日時


テーマ: 「検査室マネジメント」
日時 : 2016年01月30日(土) 13:30~
場所 : 北海道がんセンター 5F 第1会議室
参加費: 1000円
受付 : 13:00 から


プログラム


総合司会 国臨協北海道支部 事務局長  灘 雅雄  

開会の辞
 13:30~13:35
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 
講演1
 13:35~14:40
司会 佐藤 路生 (国臨協北海道支部 副支部長) 

 「検査システム導入に必要な基礎知識」
株式会社 エイアンドディー 北海道支社  黒崎 大輔 氏 
休憩
 14:40~14:50

講演2
 14:50~15:55
司会 大山 博行(国臨協北海道支部 副支部長) 

 「保険診療の基礎と平成28年度診療報酬改定の動向」
シーメンスダイアグノスティックス株式会社 松尾 久昭 氏 
休憩
 15:55~16:05

特別講演
 16:05~17:10
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 支部長) 

 「北大病院の人材育成について」
北海道大学病院 検査・輸血部 技師長 澁谷 斉 先生 
閉会の辞
 17:10~17:15
国立病院臨床検査技師長協議会 北海道支部 会長 三嶋 秀幸 
国臨協北海道支部 事務局
〒063-0005 札幌市西区山の手5条7丁目1-1
独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター 臨床検査科内
TEL 011-611-8111  FAX 011-611-5820
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