研修会の報告
国臨協北海道支部主催の研修会が2018年05月19日(土)13:30より北海道がんセンター5F会議室で行われました。 道内各施設から49名の会員の皆様の出席があり、講演2題と参加者全員によるケーススタディを行いました。
講演1
講演1 遠藤先生
講演1は札幌医科大学附属病院の遠藤 明美先生による、『血液形態検査について』と題した講演でした。血球計数器の原理からスキャッタグラムやヒストグラムの見方、血液細胞の分類基準を中心に症例を提示されながら説明して頂きました。 血液細胞の分類では、2013年に日本検査血液学会から発表された桿状核球と分葉核球の鑑別についてしっかりと学ぶことができ、幼若細胞の分類もおさらいすることができました。
また機器に異常フラグが出た場合には末梢血の鏡検にて確認すること、再検値が同じだからといって安易に確定せず、異常値が出る原因を考え、 信頼できる検査結果を提供することが大切だということでした。
日当直の際にフラグが出たり、臨床側から問い合わせがあったり、普段血液検査に従事していなくても対処しなければならないことがあるかと思います。 そのような時に役立つ内容を基礎から大変わかりやすく講演して頂きました。遠藤先生ありがとうございました。
講演2
講演2 長濱氏
講演2は、LSIメディエンスの長濱 裕氏による『凝固・線溶検査について~FDP・Dダイマーの測定対象について~』と題した講演でした。
まずDダイマーとは血栓が線溶を受けたフィブリン分解物の総称で、FDPはDダイマーに加えて、過剰な線溶活性化によるフィブリノゲン分解産物の総称であるとのことでした。
通常の線溶ではほとんどがフィブリン分解産物であるため、FDPのほとんどがDダイマーとして考えてよいそうです。
線溶が過剰に活性化される原因としては、脳梗塞に使用されるtPA製剤の投与や癌細胞の関連が挙げられるとのことでした。その他FDP、Dダイマーの測定方法や測定上の注意点についてわかりやすく説明して頂きました。 また2017年報告のヨーロッパ心臓病学会の論文からも最近の話題を紹介して頂きDIC診断基準、血栓症との関連について興味深く学ぶことができました。 長濱先生ありがとうございました。
ケーススタディ
ケーススタディ 若月氏
ケーススタディは『データを考える2018』と題し、国臨協北海道支部学術担当理事で生化学部門ルーチンアドバイザーでもある若月 香織氏が生化学部門と輸血部門の事例提示と解説を担当しました。
今回生化学部門では初の試みとして、得られたデータの不確かさを算出するという統計学的な問題がお題だったため、不慣れなワードに戸惑ったり、学生時代にこのような勉強したかもと思い出しながら取り組まれた方もいたのではないでしょうか。輸血部門では血液型検査においてオモテウラ不一致となった症例の原因や追加検査について考えるお題でした。普段の日当直でもウラ検査で弱い凝集がみられオモテウラ不一致となる症例にあたることも あると思いますので、確認する良い機会になったと思います。
例年通り、グループごとに検討を行う形式で行われましたが、閉会時間が迫った中で、どのグループも正解に近い形まで辿り着くことができ有意義な時間となりました。参加された会員の皆様お疲れ様でした。
なお、今回提示した事例と解説については以下のリンクからご覧になることができます。 当日参加できなかった会員の皆様もぜひチャレンジしてみてください。
ケーススタディ風景
研修会開催のお知らせ
開催日時
テーマ: 「データを考える」
日時 : 2018年5月19日(土) 13:30~17:00
場所 : 北海道がんセンター 5F 第2会議室
参加費: 1000円
受付 : 13:00 から
プログラム
総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 灘 雅雄
開会の辞
13:30~13:35
国臨協北海道支部 支部長 星 直樹
講演1
13:35~14:35
司会 佐藤 路生 (国臨協北海道支部 副支部長)
「血液形態検査について」
札幌医科大学付属病院 検査部 遠藤 明美 先生
休憩
14:35~14:45
講演2
14:45~15:45
司会 松原 勤(旭川医療センター 血液学主任)
「凝固・線溶検査について」~FDP・Dダイマーの測定対象について~
株式会社LSIメディエンス 学術部 長濱 裕氏
休憩
15:45~15:55
ケーススタディ
15:55~16:55
「データの見方Ⅳ」
国臨協北海道支部 学術理事 若月 香織
閉会の辞
16:55~17:00
国臨協北海道支部 副支部長 早乙女 和幸