支部勉強会・研修会他

研修会の報告

 国臨協北海道支部主催の研修会が2016年05月21日(土) 13:30より北海道がんセンター5F会議室で行われました。 晴天に恵まれ初夏を感じる暑さの中、道内各施設から41名の会員の皆様の出席があり、講演2題と参加者全員によるケーススタディを2例行いました。

講演1

講演1 志保支部長
 講演1は国臨協北海道支部の志保支部長による、『臨床検査統計学へのアプローチ』と題した講演でした。
  学会発表等で統計学を用いる機会が多いと思いますが、実は統計学ってよくわからない、どの検定法を使ったらいいの?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そんな疑問を解決できるように統計学の基本概念、分布図の見方、検定法の種類といった広範囲にわたる内容を、用語の解説や冗談を交えながらお話しいただきました。 統計学には集団に属するすべての個体のデータからその集団全体の特徴や傾向を明らかにする記述統計学と、集団の一部から全体の特徴や傾向を把握する推測統計学に大きく分類されますが、 後者では集団の一部を無作為に取り出す必要があります。しかし医学の場合、個体となる患者さんはある意志をもって集まったものであるため、臨床では無作為という名の作為的抽出になってしまうという 頭の片隅に入れておきたい知識も得られました。また他のデータからかけ離れてしまった外れ値への対応の仕方など、今後役立てることのできるようなお話もあり、盛りだくさんな講演となりました。 実験の計画や目的をしっかりと立てることが重要で、その中で統計学という道具を使いましょうとのことでしたが、適切に活用できるように統計学を学んでいきたいなと思いました。 志保支部長ありがとうございました。


講演2

講演2 髙田氏
 講演2は、北海道がんセンター薬剤部の髙田 慎也氏による『分子標的治療薬の種類と特徴』と題した講演でした。
 長らく抗がん剤と呼ばれてきた殺細胞性抗がん剤と分子標的薬との違い、多岐にわたる分子標的薬の種類や特徴について、治療ガイドラインや患者さんとのエピソードを交え、丁寧にわかりやすくご講演いただきました。
 分子標的薬は癌細胞の増殖や転移・浸潤に関わる蛋白質を特異的にターゲットとするため、重篤な全身への有害反応は低いとされていますが、今までになかった新しい皮膚障害を呈する特徴があるとのことでした。 この皮膚障害に関しては、いくつかの分子標的薬で疾患に対する有効性の相関が明らかになり、治療効果のマーカーとなりえるそうです。
 往来からあった殺細胞性抗がん剤は正常細胞にもダメージを与えてしまうため、分子標的薬は導入当初、夢の薬ともてはやされた時期もあったとのことでしたが、 期待が大きすぎてあっという間に認証された薬もあり、副作用による死亡被害が多発したという非常に残念なこともあったそうです。 今では薬の適応基準や使用する上での注意書きもあるそうですが、新薬には十分な検証が必要だと改めて痛感させられるお話でした。 髙田先生ありがとうございました。


ケーススタディ

ケーススタディ 若月理事
ケーススタディ 村中理事
 ケーススタディは『データを読む』と題し、国臨協北海道支部学術理事の村中 美幸氏が心電図、若月 香織氏が生化学の事例提示と解説をそれぞれ担当しました。 参加者を4つのグループに分け、配布した2つ事例についてグループごとに検討を行う形式で行われました。 今回は北海道がんセンターと医療センターに臨地実習に来ている学生さんも交えての大人数での討論会になり、また事例に生化学だけではなく心電図も加わったこともあり、検討時間を延長するほどでした。
 その後、各事例についてグループの代表者から回答を発表していただき、どよめきあり、笑いありで昨年に引き続き会場はとても盛り上がりました。討論後村中理事、若月理事より事例の詳細について解説がありました。 心電図の事例は判読のみならず、患者さんの急変時、どのように対応をするかを確認することができ、生化学の事例は緊急検査士の試験対策にもなるような大変勉強になるケーススタディでした。講師を務められた先生、参加された会員の皆様お疲れ様でした。

なお、今回提示した事例と解説については以下のリンクからご覧になることができます。 当日参加できなかった会員の皆様もぜひチャレンジしてみてください。


   
ケーススタディ風景



研修会開催のお知らせ

開催日時


テーマ: 「データを考えるⅡ」
日時 : 2016年5月21日(土) 13:30~17:00
場所 : 北海道がんセンター 5F 第1会議室
参加費: 1000円
受付 : 13:00 から


プログラム


総合司会 国臨協北海道支部 事務局長  灘 雅雄  

開会の辞
 13:30~13:35
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 
講演1
 13:35~14:35
司会 佐藤 路生 (国臨協北海道支部 副支部長) 

 「臨床検査統計学へのアプローチ」
国臨協北海道支部  志保 裕行 氏 
休憩
 14:35~14:45

講演2
 14:45~15:45
司会 早乙女 和幸(国臨協北海道支部 副支部長) 

 「分子標的治療薬の種類と特徴」
北海道がんセンター  高田 慎也 氏 
休憩
 15:45~15:55

ケーススタディー
 15:55~16:55
 「データを読む」
司会 村中 美幸(国臨協北海道支部 学術理事) 
                 若月 香織(国臨協北海道支部 学術理事) 

閉会の辞
 16:55~17:00
国臨協北海道支部 副支部長 早乙女 和幸 
国臨協北海道支部 事務局
〒063-0005 札幌市西区山の手5条7丁目1-1
独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター 臨床検査科内
TEL 011-611-8111  FAX 011-611-5820
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