第23回国臨協北海道支部学会・総会 速報
日時 : 2017年9月2日(土) 13:30~
場所 : 北海道がんセンター 3F 大講堂
第23回国臨協北海道支部学会・総会が、2017年9月2日(土) 北海道がんセンター3F大講堂で開催されました。 学会には会員43名、メーカー16名、講師2名の合わせて61名の参加がありました。 当ページでは学会の模様をいち早くお伝えいたします。
総会
議長の山崎技師長
学会に先立ち、平成27年度国臨協北海道支部総会が開かれました。
議長に帯広病院山崎技師長、書記に今井理事と福澤理事を選出した後、各担当者から昨年度の事業報告、会計報告、会計監査報告が行われ、
本年度の事業計画案、会計案が提示されました。その後三嶋役員推薦委員長より役員改選についての議案があり、志保支部長と松原常任理事が退任され、新たに 旭川医療センターの星技師長が支部長、北海道医療センターの大谷技師が常任理事として着任されることとなりました。 提出された議題は代議員によりすべて承認されました。
学会
総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 灘 雅雄
開会の辞
13:30~13:35
国臨協北海道支部 支部長 星 直樹
支部事業報告
13:35~14:55
司会 佐藤 路生 (国臨協北海道支部 副支部長)
1.第50回日本医師会精度管理調査結果解析
国臨協北海道支部 学術理事 飯田 岳陽
2.ISO15189取得に向けた導入手順書の作成
国臨協北海道支部 学術理事 若月 香織
3.平成28年度北海道東北支部精度管理報告
国臨協東北支部 学術理事 湯田 智子
東北支部の湯田副技師長
挨拶する星支部長
着任されたばかりの星支部長の開会の挨拶の後、昨年度の支部事業報告がありました。
最初に飯田理事から医師会精度管理解析報告、若月理事からISO15189取得に向けた導入手順書の作成について報告がありました。続いて、昨年度の合同精度管理を担当した東北支部から湯田副技師長にお越しいただき、報告していただきました。
学術研究サポートプログラムによる発表
15:05~15:20
座長 中島 真奈美 (国立病院機構 北海道がんセンター)
「EGFR mutation検索における遺伝子解析装置 i‐densy(IS-5320)の活用例」
国立病院機構 旭川医療センター 橋本 大輝
病理部門担当ルーチンアドバイザー 東 学
病理部門担当ルーチンアドバイザー 東 学
毎年恒例となった新人育成を目的とした入社2年目の職員が対象の「学術研究サポートプログラムによる発表」が行われました。今年は旭川医療センターの橋本技師のみが対象だったため、 会場の皆さんの注目を存分に浴びての発表となりました。また会場も例年と違いがんセンターの大講堂と緊張する要素が満載でしたが、懸命に取り組まれていました。
予期していない質問にどのように答えていくか、こちらも恒例となったハラハラドキドキタイムですが、今後の学会発表を重ねていく上で大変貴重な経験になったのではないでしょうか。 発表を行った橋本技師、優しくフォローして頂いた座長の中島技師、お疲れさまでした。
座長の中島技師
橋本技師
臨床検査学講座
15:20~16:20
司会 早乙女 和幸(国臨協北海道支部 副支部長)
1.「赤血球膜の構造とはたらき」
血液部門ルーチンアドバイザー 佐藤 路生
講師の佐藤副技師長
一つ目のの臨床検査学講座は北海道がんセンターの佐藤副技師長による「赤血球膜の構造とはたらき」と題した講演でした。界面活性剤であるSDSを用いた蛋白の可溶化方法が考案されてから赤血球膜の構造の研究が進み、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、 膜蛋白は分子量の異なる多数の分子から構成されるということが判明したとのことでした。 様々な研究の過程で、水を選択的に通過させる蛋白質を発見したとしてノーベル化学賞を受賞された研究者もいたとのことでした。 その蛋白質は水の通り道という意味のアクアポリンと呼ばれるようになったそうです。
赤血球膜構造研究の歴史、骨格蛋白、赤血球膜の構造と働きについて興味深くお話し頂き、赤血球膜異常症についても詳しく説明して頂きました。 佐藤副技師長、ありがとうございました。
2.「心臓超音波検査の基礎」
生理部門ルーチンアドバイザー 中野 裕章
講師の中野副技師長
続いての臨床検査学講座は函館病院の中野副技師長による「心臓超音波検査の基礎」と題した講演でした。
まず心臓超音波検査を行う上で基本となる、傍胸骨左室長軸像、短軸像、心尖部四腔像、心尖部二腔像の解剖とルーチン検査で測定する項目について基礎から説明して頂きました。
スライドに用いられた画像や動画はどれも明瞭で美しく、普段からきれいな画像を保存することが大事であると改めて痛感しました。その他、弁逆流や肺高血圧症の評価の方法、先天性心疾患で頻度の高い大動脈二尖弁について等、幅広くまとめて頂きました。 心臓超音波検査に携わっている方には復習を兼ねた有意義な時間となったことと思いますが、超音波検査を担当していない方にもわかりやすい内容だったのではないでしょうか。 中野副技師長、ありがとうございました。
特別講演
16:30~17:30
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 前支部長)
「検査室と病院を取り巻く21世紀の感染症事情」
国立病院機構北海道がんセンター 感染症内科 藤田 崇宏
講師の藤田先生
今年の特別講演は「検査室と病院を取り巻く21世紀の感染症事情」と題し、北海道がんセンター 感染症内科 藤田 崇宏先生にお話しして頂きました。
まず、主な血液媒介感染症であるHBV、HCV、HIVの伝染リスクついておさらいした後に、北海道がんセンターでのHIV抗体検査結果を例にスクリーニング検査について説明して頂きました。
スクリーニング検査とは見逃さないための検査なので、陽性にはHIVに感染している人と感染していない人が含まれます。
対象となる母集団の有病率が低ければ、同じ性能の検査でも偽陽性が多くなるので、スクリーニング検査陽性であった場合は確認検査が必要とのことでした。
またHIVの治療法も変化しており、以前は1日に必要な内服薬の錠数が平均8剤であったのに対し、最近では1日1剤となっているそうです。近年話題となっている梅毒の再流行については、報告数が2013年頃から急激に増え続けているとのことでした。しかしこれは氷山の一角であり、実際に梅毒と診断されている患者さんはもっと多いそうです。 以前から男性同性愛者間での流行はおきていましたが、数年前からは女性の報告者が増え始め、諸説あるものの原因は不明とのことでした。
最後に細菌の薬剤耐性について説明して頂きました。もしかすると2050年には薬剤耐性菌による死亡が悪性腫瘍を超えるかも...というお話には驚きましたが、 1990年代以降新しいタイプの抗生物質は開発されておらず、国際社会全体での取り組みが始まっているそうです。私たち医療従事者が連携して抗菌薬適正使用を推進していくことが大事であるとのことでした。 会場の笑いを誘いながら、わかりやすく和やかに講演して頂きました。藤田先生、ありがとうございました。
以上、当日の学会の様子をダイジェスト版としてお伝えしました。
今学会も盛りだくさんの内容でしたが、皆様のご協力のおかげで予定通りに終了しました。ありがとうございました。この後、場所を移して学術交流会が行われ、さらに活発な意見交換がなされました。
総会・学会・学術交流会に参加された皆様、お疲れ様でした。次回も是非ご参加ください。
第23回国臨協北海道支部学会のご案内
第23回国臨協北海道支部学会を下記の日程およびプログラムで開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしております。
開催日時
日時 : 2017年9月2日(土) 13:30~
場所 : 北海道がんセンター 3F 大講堂
プログラム
総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 灘 雅雄
開会の辞
13:30~13:35
国臨協北海道支部 支部長 志保 裕行
支部事業報告
13:35~14:55
司会 佐藤 路生 (国臨協北海道支部 副支部長)
1.第50回日本医師会精度管理調査結果解析
国臨協北海道支部 学術理事 飯田 岳陽
2.ISO15189取得に向けた導入手順書の作成
国臨協北海道支部 学術理事 若月 香織
3.平成28年度北海道東北支部精度管理報告
国臨協東北支部 学術理事 湯田 智子
学術研究サポートプログラムによる発表
15:05~15:20
座長 中島 真奈美 (国立病院機構 北海道がんセンター)
「EGFR mutation検索における遺伝子解析装置 i‐densy(IS-5320)の活用例」
国立病院機構 旭川医療センター 橋本 大輝
病理部門担当ルーチンアドバイザー 東 学
病理部門担当ルーチンアドバイザー 東 学
臨床検査講座
15:20~16:20
司会 早乙女 和幸(国臨協北海道支部 副支部長)
1.「赤血球膜の構造とはたらき」
血液部門ルーチンアドバイザー 佐藤 路生
2.「心臓超音波検査の基礎」
生理部門ルーチンアドバイザー 中野 裕章
特別講演
16:30~17:30
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 支部長)
「検査室と病院を取り巻く21世紀の感染症事情」
国立病院機構北海道がんセンター 感染症内科 藤田 崇宏
閉会の辞
17:30~17:35
国臨協北海道支部 副支部長 早乙女 和幸