北海道支部学会

 

第19回国臨協北海道支部学会・総会 速報

 第19回国臨協北海道支部学会・総会が、2013年9月7日(土) 北海道医療センター5F大会議室で開催されました。 秋らしく涼しい気候の中、昨年より11名多い52名の参加者が集まり学会が始まりました。
当ページでは当日の学会の模様をいち早くお伝えします。

総会

議長の印部技師長
 学会に先立ち、平成25年度国臨協北海道支部総会が開かれました。 議長に北海道医療センター印部技師長、書記に広瀬理事と前野理事を選出した後、各担当者から昨年度の事業報告、会計報告、会計監査報告が行われ、代議員によりすべて承認されました。
 続いて本年度の事業計画案、会計案が提示されました。
学術関係では、本年度の勉強会として「輸血勉強会」を開催すること、ルーチンアドバイザー制度の見直しと活性化を行うことが提案されました。 また、総務関係では、昨年度に引き続き主任技師を対象とした「主任研修会」の開催と会員意識調査の実施が提案されました。
その他、役員の改選、旅費規程の一部改定などについて提案されすべて承認されました。議長の印部技師長、各施設の代議員のみなさんお疲れ様でした。


学会

学術事業報告
挨拶する志保支部長
 志保支部長の開会の挨拶の後、昨年度の学術報告がありました。まず最初に昨年度初めて実施された、学校訪問の報告が志保支部長からありました。この事業は、これからの検査科を担う優秀な人材の確保を目的に国臨協北海道支部と技師長協議会が連携して各臨床検査技師学校を訪問し、就職を控えた学生に国立病院という組織を知ってもらう企画です。訪問の際には、新人研修の有無や転勤、業務のローテーションについてなど活発な質問が多数寄せられ、学生のみなさんの関心の高さを感じたそうです。
 続いて学術担当理事から医師会精度管理解析報告と学術報告がありました。昨年度は支部精度管理が東北支部担当だったこともあり、学術活動は研修会と各種ガイドラインの作成をメインに行いました。報告では「ISO15189標準作業書作成のためのガイドライン」と「給食職員検便検査ガイドライン」の2つのガイドラインについて、各担当者から詳細な説明を行いました。 最後に、国臨協北海道・東北ブロックの精度管理報告が前東北支部学術担当で現在帯広病院の三浦副技師長により行われました。50分という時間の中で生化学、血液、生理、細菌の4分野の精度管理報告がありました。


学術研究サポートプログラムによる発表
座長の加藤技師
 続いて本年で3回目となった、新人育成を目的とした「学術研究サポートプログラムによる発表」が行われ、旭川医療センター 長谷技師、北海道医療センター 練合技師、北海道がんセンター 若松技師による研究発表がありました。
昨年採用になった新人技師がすべて生理検査に配属になったため本年は3題すべてが生理部門の発表となりました。
 初めての発表で緊張感いっぱいの中、質問にも堂々(?)と答える演者や、質問者に逆に質問して答えさせるなど掟破りの演者もいましたが大変有意義な経験になったのではないでしょうか。
 発表を行った技師のみなさん、研究発表をサポートされたルーチンアドバイザーのみなさんお疲れ様でした。今後の活躍を期待しています。
長谷技師
練合技師
若松技師


臨床検査講座
講師の早乙女理事
 臨床検査講座は、「心電図波形の成り立ち」と題して、函館病院副技師長で国臨協北海道支部学術担当の早乙女理事が講師を務めました。 講演では、心電図における各誘導の役割と心臓の部位の関係など、学生時代に勉強した基礎知識についての解説から始まり、ST上昇・降下、異常Q波などの波形がどのような機序で合成されるのかを解説いただきました。 特に、心筋の心外膜側と心内膜側の活動電位の性質の違いにより心電図の波形が合成される理論や心筋の壊死部分の大きさと異常Q波の大きさの関係などは非常に興味深いお話でした。普段心電図検査を行うことがない方でも大変わかり易い解説で、非常に有意義な講座となりました。


特別講演
特別講演を行う小松専門職
 特別講演は、講師に国立病院機構本部医療部医療課 臨床検査専門職の小松 和典氏を迎え「国立病院機構本部の取り組みと国臨協北海道支部のみなさんに期待していること!-さらなる飛躍をめざして-」と題して行われました。
 講演の冒頭で小松氏は本学会の感想として「立場上、各支部の学会に参加することが多いが本学会のように学会、研修会、新人教育の性質をかねたものは無いのではないか」とされ、さらに「素晴らしいのでこのまま続けていってほしい」と述べられました。
 その後、国立病院機構の現況と取り組みについて報告されました。現在状況では、国立病院機構は評価委員会で高い評価を得ており、他の独立行政法人に比べ経営状況は非常に良いとのお話がありました。
 取り組みでは現在行われていることとしてISO15189取得など標準化への取り組み、インフルエンザ感染動向の情報提供、検査説明・検査相談への取り組み、共同入札の推進、治験業務の取り組み、キャリアパスの作成等をあげられました。 そして、会場が北海道医療センターということもあり、ブランチラボについても触れられ、この中で、「ブランチラボの是非はともかく、検体検査は、止まれば病院全体の診療が止まってしまうほど非常に重要な存在であるにもかかわらずその部分を院外の人に行ってもらって良いのか?お金の問題以上に大切なことがあるのではないかと一技師長としては考えている」と大変熱く語っていただきました。 その他にも、将来の課題として、若い世代の細胞検査士が少なく将来足りなくなる可能性があるので人材育成が早急に必要であること、教育する人を育成するシステムを構築する必要があること、検査の標準化は必須であるので、ISO取得につなげるためにもまずは5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を徹底して、作業の効率化、安全性を普段から追及してほしいことを提示いただきました。
 職員に期待することとしては、チーム医療へ積極的に参画することをあげられ、検査科の視点から臨床検査を見るのではなく医療全体を俯瞰する視点でチーム医療を考える事の重要性を述べられました。特に機構として求めているのは検査のスペシャリストであることは当然のこととして、コミュニケーション能力や問題点を見極める能力を磨き、検査技師としてコンサルテーションできる人材であると明言されました。 そして、若い技師向けとして、目の前の仕事をがんばること、行動することの重要性、医療人としての覚悟の大切さを、ベテラン技師には検査技師になったときの熱い思いを思い出してほしいこと、ものが言える検査技師であってほしいことを求めていると述べられました。
 最後に小松氏が先輩から受け継いだ言葉として「検査とは命を測っているんだ」という名言をいただき特別講演を締められました。1時間という時間で非常にたくさんの熱いお話をしていただき有意義な時間となりました。
小松専門職ありがとうございました。

 以上、当日の学会の様子をダイジェスト版としてお伝えしました。学会は皆さんのご協力により定刻通り、大盛況のうちに無事終了しました。この後、場所を移して学術交流会が行われ、さらに活発な意見交換がなされました。 学会・総会・学術交流会に参加された皆様、お疲れ様でした。
次は勉強会でお会いしましょう。



第19回国臨協北海道支部学会のご案内

 第19回国臨協北海道支部学会を下記の日程およびプログラムで開催いたします。
会員の皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時


日時 : 2013年9月7日(土) 14:00~
場所 : 北海道医療センター 5F 大会議室


プログラム


総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 星 直樹 
開会の辞
 14:00~14:05
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 

学術事業報告
 14:05~15:25
司会 大山博行 (国臨協北海道支部 副支部長)

 1.道内検査技師学校訪問報告
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 
 2.第46回日本医師会精度管理調査結果解析
国臨協北海道支部学術  若月 香織 
 3.ISO15189標準作業書作成のためのガイドライン
国臨協北海道支部学術  佐藤 路生 
 4.給食職員検便検査ガイドライン
国臨協北海道支部学術(委嘱)  灘  雅雄 
 5.平成24年度北海道東北支部精度管理報告
元国臨協東北支部学術  三浦 ありさ

学術研究サポートプログラムによる発表
 15:25~16:10
座長 加藤 菜穂 (国立病院機構 旭川医療センター)
 
 1. 「体位変化による呼吸機能検査値への影響」
国立病院機構 旭川医療センター   長谷 健司 
生理部門担当ルーチンアドバイザー  村中 美幸 
 2. 「CPXにおける心臓リハビリに対する有用性」
国立病院機構 北海道医療センター  練合 里江子
生理部門担当ルーチンアドバイザー  中野 裕章 
 3. 「皮膚科領域における超音波検査の検討」
国立病院機構 北海道がんセンター  若松 亜由子
生理部門担当ルーチンアドバイザー  早乙女 和幸
臨床検査講座
 16:10~16:40
司会 大山博行(国臨協北海道支部 副支部長) 

「心電図波形の成り立ち」
国立病院機構 函館病院  早乙女 和幸

休憩
 16:40~16:50

特別講演
 16:50~17:50
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 支部長) 

「国立病院機構本部の取り組みと国臨協北海道支部のみなさんに
  期待していること! ーさらなる飛躍をめざしてー」
    国立病院機構本部医療部医療課 臨床検査専門職 小松 和典 

閉会の辞
 17:50
国臨協北海道支部 副支部長 大山 博行 
国臨協北海道支部 事務局
〒063-0005 札幌市西区山の手5条7丁目1-1
独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター 臨床検査科内
TEL 011-611-8111  FAX 011-611-5820
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