北海道支部学会

 

第20回国臨協北海道支部学会・総会 速報


日時 : 2014年8月30日(土) 13:00~
場所 : 北海道医療センター 5F 大会議室


 第20回国臨協北海道支部学会・総会が、2014年8月30日(土) 北海道医療センター5F大会議室で開催されました。 学会には会員43名、メーカー10名、講師3名の合わせて56名の参加がありました。 当ページでは当日の学会の模様をいち早くお伝えします。

総会

議長の森山主任
 学会に先立ち、平成26年度国臨協北海道支部総会が開かれました。 議長に帯広病院森山主任、書記に広瀬理事と今井理事を選出した後、各担当者から昨年度の事業報告、会計報告、会計監査報告が行われました。
 続いて本年度の事業計画案、会計案が提示されました。
 総務関係では、昨年度まで開催された主任技師を対象とした「主任研修会」の代わりに、新たに技師長協議会と連携した研修会を開催することが提案されました。
 学術関係では、本年度の勉強会として「データを考える(仮題)」を開催することと、試薬統一化の推進が提案されました。 提出された議題は代議員によりすべて承認されました。
 今年度の総会は、当初予定されていた9/6日開催が不可能になったため急遽1週間前倒しての実施となりました。 準備期間が短かかった影響もあり議案書に誤りが多数ありました。また、年度途中での総会となったため会計処理が複雑になり会員の皆様にはご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫び申し上げます。
 
 


学会

総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 星 直樹 
開会の辞
 13:00~13:05
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 

学術事業報告
 13:05~13:55
司会 大山博行 (国臨協北海道支部 副支部長)

 1.道内検査技師学校訪問報告
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 
 2.会員意識調査報告
国臨協北海道支部 副支部長  寺嶋 和宏 
 3.第47回日本医師会精度管理調査結果解析
国臨協北海道支部 学術理事  若月 香織 
 4.平成25年度北海道東北支部精度管理報告
国臨協北海道支部 学術理事 生化担当  若月 香織 
国臨協北海道支部 学術理事 血液担当  佐藤 路生 
国臨協北海道支部 学術理事 生理担当 早乙女 和幸 


挨拶する志保支部長
 志保支部長の開会の挨拶の後、昨年度の学術報告がありました。 最初に2年目の事業となった学校訪問の報告が志保支部長からありました。 この事業は、これからの検査科を担う優秀な人材の確保を目的に国臨協北海道支部と技師長協議会が連携して各臨床検査技師学校を訪問し、就職を控えた学生に国立病院という組織を知ってもらう企画です。 今年は、新たな試みとして今年度入社の旭川医療センター福澤技師に「入ってよかった国立病院機構」と題した学生向けのお話しをしていただきました。 また、この事業の成果として、一昨年に比べ昨年は国立病院機構に応募する学生が増加し、採用倍率が8倍の狭き門であったとの報告がありました。 学校訪問事業は全国の他の支部の関心も高いようで、問い合わせも多く、今後は全国に波及していきそうです。
 続いて、寺嶋副支部長から北海道支部会員を対象に昨年実施した会員意識調査についての報告と 学術担当理事から医師会精度管理解析報告と平成25年度北海道東北支部合同精度管理報告がありました。 昨年度の合同精度管理は北海道支部が担当で生化学、血液、生理の3部門について行われました。 合同精度管理事業も年々成績が向上しており、特に血液部門の凝固系項目の成績は近年では一番の良好な成績となったようです。


学術研究サポートプログラムによる発表
 14:05~15:05
座長 山崎 恭詩 (国立病院機構 旭川医療センター)
 
 1. 「当院における目視再検基準の検討」
国立病院機構 旭川医療センター   川嶋 友梨香
血液部門担当ルーチンアドバイザー   松原 勤  
  佐藤 路生 
 2. 「市販代替キシレンの採用へ向けた有用性の検証」
国立病院機構 北海道がんセンター    岸 千夏 
病理部門担当ルーチンアドバイザー    平 紀代美
  東 学  
 3. 「院内導入に向けたBNP・pro-GRP測定試薬の基礎的検討」
国立病院機構 北海道がんセンター   舛本 和  
生化学部門担当ルーチンアドバイザー   若月 香織 
 4. 「筋ジストロフィー患者の腎機能評価におけるシスタチンC測定の重要性」
国立病院機構 八雲病院   田中 謙次 
生化学部門担当ルーチンアドバイザー   若月 香織 
 5. 「治療に苦慮した急性重症僧房弁閉鎖不全症の1例」
国立病院機構 函館病院   渋谷 美咲 
生理部門担当ルーチンアドバイザー  早乙女 和幸 

座長の山崎副技師長
 今年で4回目となった新人育成を目的とした入社2年目の職員が対象の「学術研究サポートプログラムによる発表」が行われました。今年は、旭川医療センター 川嶋技師、北海道がんセンター 岸技師、舛本技師、八雲病院 田中技師、函館病院 渋谷技師による研究発表がありました。
 昨年採用になった新人技師が5名と過去最多であったため、本年は長丁場の発表となりました。
 初めての発表で緊張感が漂う中、ベテランの様に堂々と発表された方、用意した原稿を読むので精一杯な方、動画が動かず冷や汗をかいた方等、見ている方もハラハラドキドキの発表会となりましたが、 演者のみなさんにとっては大変貴重な経験になったのではないでしょうか。
 発表を行った技師のみなさん、研究発表をサポートされたルーチンアドバイザーのみなさんお疲れ様でした。今後の活躍を期待しています。
川嶋技師
岸技師
舛本技師


田中技師
渋谷技師


講演「旭川からの報告」
 15:05~15:45
司会 寺嶋 和宏(国臨協北海道支部 副支部長) 

 1. 「生化学検査の本を出します」
国立病院機構 旭川医療センター  志保 裕行 
 2. 「海外研修に行ってきました」
国立病院機構 旭川医療センター  長谷 健司 


 今年は「臨床検査講座」に変わり、「旭川からの報告」と題して、旭川医療センターの志保技師長と長谷技師による講演を行いました。

講師の志保技師長
 講演1は志保技師長による「生化学の本を出します」と題した講演でした。 検査科の花見の時に緊急検査士試験の受験を控えた部下が発した何気ない一言が執筆の動機とのことで、技師長の部下愛を感じる講演となりました。
 肝心の本は生化学検査の入門書という位置づけで志保技師長が中心となり、旭川医療センター臨床検査科長の玉川先生や、北海道がんセンターの若月主任が共同執筆しているそうです。 緊急検査士等を目指している方や生化学部門に初めて配属になった方にはおすすめの本です。 10月発売予定ですので皆さんよろしくお願いします。


講師の長谷技師
 講演2は、長谷技師による「海外研修にいってきました」と題した講演でした。 この研修は旭川医療センターが今春初の試みとして企画したコメディカルを対象にした海外研修で、長谷技師が応募したことから実現しました。 研修場所はロサンゼルスの退役軍人協会病院(VAMC)で、1週間の予定で行われました。 初めての企画ということで、研修カリキュラム等も無く試行錯誤の研修だったそうで結局、事前に希望を伝えた脳波検査を中心とした研修に落ち着いたそうです。
 長谷技師によると、日本では脳波、神経伝導検査、エコー検査、呼吸機能検査など、生理検査と言われる検査はほとんどすべて臨床検査技師が行っていますが、 アメリカではこれらの検査はそれぞれ別々の資格が必要となっているそうです。
 研修先病院の脳波検査で使用している機器は日本光電製で電極の付け方が10-20法だった等日本と共通点が多かったそうですが、 電極の材質が金であることや検査の際は必ず手袋を着用して感染対策を万全に行っている点など違いもあったそうです。
 研修を終えた感想としてアメリカだからレベルが高いというわけではなく、日本と同等か、むしろ少ない人数でたくさんの検査をこなしている日本のほうが優秀であると感じたそうです。 フロアからも研修時のコミュニケーションについて質問がありましたが、グーグルの音声翻訳機能を利用するなど工夫したとのことです。 このような研修が今後他施設に波及するといいですね。


シンポジウム
 15:55~17:35
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 支部長)  
  大山 博行(国臨協北海道支部 副支部長) 

「臨床検査技師育成について考える
  ー学校から病院へ繋ぐキャリアパスー」
    北海道医学技術専門学校   小林 克己 先生 
札幌医学技術福祉歯科専門学校   佐藤 忠  先生 
北海道大学   森山 隆則 先生 
北海道がんセンター  星 直樹 副技師長 


北医専 小林先生
 今年は「特別講演」に変わり「臨床検査技師育成について考えるー学校から病院へ繋ぐキャリアパスー」と題したシンポジウムを開催しました。 講師には道内の臨床検査技師養成校から北海道医学技術専門学校の小林克己先生、札幌医学技術福祉歯科専門学校の佐藤 忠先生、北海道大学の森山 隆則先生、卒後の学生を受け入れる立場として北海道がんセンター星副技師長をお招きしました。
 各先生には「学校紹介」や「学校での3年間のキャリアパスとカリキュラムの特色」をはじめ「病院実習への要望」「学生の考えるキャリアデザインは?指導は?」「卒後の社会的・職業的自立について学校の役割は」「これからの技師に望むもの」についてそれぞれお話しいただきました。
札医専 佐藤先生

 各学校に共通していたのはキャリアパスの始まりは臨床検査技師の国家試験に合格することであるのでこれが必須であり最低限の目標であることでした。
 病院実習に対してどのような要望があるかでは経営やコスト意識をはじめ、ICT、NST、輸血療法委員会等の他職種とのかかわりあいについて等、学校ではできない内容を体験することを希望しているそうです。 また、学生自身が自分のキャリアデザインについてどのように考えているかについては、漠然としており明確に描いている学生は少ないとのことでした。 近年の学生の傾向としては生理部門や病理部門への配属志望が多いこと、就職後は認定取得を目指していること、札幌市内への就職志望者が多いこと、転勤のある施設は人気が無いこと等を挙げられました。  
北大 森山先生

 病理部門や生理部門に人気がある理由として病理部門は手作業が多く職人的であること、生理部門は患者と直接かかることができることや大病院から小さなクリニックまで就職可能であることが理由ではないかという意見がありました。 しかし、検体検査が特に人気が無いというわけでもなく、最近では医療系以外の職場、たとえば科捜研や食品会社の品質管理等への就職もあり検体検査のスキルを身につけることは就職の幅が広がることになり侮れないとの意見もありました。


 
星 副技師長

 星副技師長には就職先や実習先として学生を受け入れる立場から国立病院機構としてどのような学生を希望しているのか、就職後にどのような教育をしているのかをお話しいただきました。 この中で、臨床検査技師としてはもちろん、人として、社会人としての生き方のイメージを持つこと、いわゆる自己概念を持つことの重要性について述べられました。
 一方、国立病院機構内に臨床検査技師としての明確なキャリアパスは無くこれから構築が必要であるとの問題点も指摘されました。

 今回のシンポジウムは人材育成について学校側の考えや学生の率直な思いを聞くことができて非常に有意義な機会であったと思います。来年以降の学生実習の在り方について参考になればと思います。

 以上、当日の学会の様子をダイジェスト版としてお伝えしました。 今学会は盛りだくさんの内容であったため、定刻を30分程超過して大盛況のうちに終了しました。この後、場所を移して学術交流会が行われ、さらに活発な意見交換がなされました。 総会・学会・学術交流会に参加された皆様、お疲れ様でした。次回も是非ご参加ください。



第20回国臨協北海道支部学会のご案内

 第20回国臨協北海道支部学会を下記の日程およびプログラムで開催いたします。
会員の皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時


日時 : 2014年8月30日(土) 13:00~
場所 : 北海道医療センター 5F 大会議室


プログラム


総合司会 国臨協北海道支部 事務局長 星 直樹 
開会の辞
 13:00~13:05
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 

支部事業報告
 13:05~13:55
司会 大山博行 (国臨協北海道支部 副支部長)

 1.道内検査技師学校訪問報告
国臨協北海道支部 支部長  志保 裕行 
 2.会員意識調査報告
国臨協北海道支部 副支部長  寺嶋 和宏 
 3.第47回日本医師会精度管理調査結果解析
国臨協北海道支部 学術理事  若月 香織 
 4.平成25年度北海道東北支部精度管理報告
国臨協北海道支部 学術理事 生化担当  若月 香織 
国臨協北海道支部 学術理事 血液担当  佐藤 路生 
国臨協北海道支部 学術理事 生理担当 早乙女 和幸 
学術研究サポートプログラムによる発表
 14:05~15:05
座長 山崎 恭詩 (国立病院機構 旭川医療センター)
 
 1. 「当院における目視再検基準の検討」
国立病院機構 旭川医療センター   川嶋 友梨香
血液部門担当ルーチンアドバイザー   松原 勤  
  佐藤 路生 
 2. 「市販代替キシレンの採用へ向けた有用性の検証」
国立病院機構 北海道がんセンター    岸 千夏 
病理部門担当ルーチンアドバイザー    平 紀代美
  東 学  
 3. 「院内導入に向けたBNP・pro-GRP測定試薬の基礎的検討」
国立病院機構 北海道がんセンター   舛本 和  
生化学部門担当ルーチンアドバイザー   若月 香織 
 4. 「筋ジストロフィー患者の腎機能評価におけるシスタチンC測定の重要性」
国立病院機構 八雲病院   田中 謙次 
生化学部門担当ルーチンアドバイザー   若月 香織 
 5. 「治療に苦慮した急性重症僧房弁閉鎖不全症の1例」
国立病院機構 函館病院   渋谷 美咲 
生理部門担当ルーチンアドバイザー  早乙女 和幸 

講演 「旭川からの報告」
 15:05~15:45
司会 寺嶋 和宏(国臨協北海道支部 副支部長) 

 1. 「生化学検査の本を出します」
国立病院機構 旭川医療センター  志保 裕行 
 2. 「海外研修に行ってきました」
国立病院機構 旭川医療センター  長谷 健司 
シンポジウム
 15:55~17:35
司会 志保 裕行(国臨協北海道支部 支部長)  
  大山 博行(国臨協北海道支部 副支部長) 

「臨床検査技師育成について考える
  ー学校から病院へ繋ぐキャリアパスー」
    北海道医学技術専門学校   小林 克己 先生 
札幌医学技術福祉歯科専門学校   佐藤 忠  先生 
北海道大学   森山 隆則 先生 
北海道がんセンター  星 直樹 副技師長 


閉会の辞
 17:35
国臨協北海道支部 副支部長 大山 博行 
国臨協北海道支部 事務局
〒063-0005 札幌市西区山の手5条7丁目1-1
独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター 臨床検査科内
TEL 011-611-8111  FAX 011-611-5820
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